建設グラフインターネットダイジェスト

〈建設グラフ2002年8月号〉

シリーズ
わが国の農業 ─福岡県編─

北九州都市圏を所管し、2事業・2地区を実施

八幡農林事務所

[農業農村整備事業・その他の例]

▲県営ため池等整備事業(北九州市小倉南区・昭和池)

 八幡農林事務所は、政令指定都市である北九州市と中間市、及び遠賀郡の芦屋町、水巻町、岡垣町、遠賀町の2市4町を所管区域とし、総面積は59,326haである。管内の農業は、北九州都市圏の立地条件を活かし、多様な農産物の生産活動が展開されている。4,780haの耕地で米麦作、園芸を中心に営まれており、粗生産額は約100億円。県内に占める割合は4.2%となっている。
 一方、森林面積は23,032haとなっているが、工業地帯や市街地に隣接した森林が多い。そのため、この地域では、森林の持つ公益的機能を活かした生活環境の保全、自然休養林的な森林の整備が強く求められている。
 同事務所の県営農業農村整備事業は、以下の2事業・2地区で実施している。

<県営農村活性化住環境整備事業・高家地区(遠賀町上別府)>

 この地区の農業は、米麦を主体とした土地利用型農業が行われているが、ほ場が小さく形状も不整形で、農地内の道路や水路などの農業用施設は未整備のまま。そのため、近代化された大型機械の使用や転作作物の栽培、農地の集団化による安定した農業経営の障害となっている。
 そこで、本事業により、基盤整備を行い、優良農地を確保。経営の合理化と省力化を進め生産性の向上を図る。
 集落道、豊前坊古墳の遊歩道、親水公園、ほたるの里、公園整備もほ場整備に併せて行い、農村生活の快適性を向上。地域住民の憩いの場としても活用する。また、農家が一定の割合で農地を提出し、新規宅地を創設、定住することにより農村地域の活性化も図る。

<県営水環境整備事業・一丁地区(岡垣町)>

 この地区の「一丁ため池」は、農業用水を目的に江戸時代に建設されたものだが、現在では、管理用道路の部分的な不備、老朽化によるため池側の法崩れ等によって池の管理に支障をきたしており、池周辺に人が寄りつき難く、環境の劣化が進んでいる。
 そこで、管理用道路と一体的に、ため池と周辺樹林地を大規模なレクリエーション空間として整備し、住民の憩いと安らぎの場とすることを目的に事業が進められている。
 本事業は、近隣公園の整備計画と合わせて進められる。一丁ため池の有する豊かな緑、その緑に囲まれた静水面がもたらす静寂といった特質を活かしながら、管理用道路のほか、水質・水位・堤体監視用兼管理者休憩所としての東屋・デッキ、水生植物や湿性植物の整備等を行う。小学生の野外活動の場のほか、より多くの人の憩いの場として、地域活性化に寄与する施設整備を図る。


▲管内農林畜産物の生産概要図